nanami-JP’s blog

40代おひとり様の日々のささやかな幸せ探し。日々の楽しみや旅行記などを徒然に。

40代おひとり様の超初心者海外旅行【イタリア8日目】

■8日目: 悠久なるコロッセオに心奪われた後の一大観光都市ローマの洗礼

 いよいよもって最終日。

 

●悠久の時を飲み込み佇むコロッセオ

 10時のチェックアウトまでローマを堪能しようと7時に起きてコロッセオに。テルミニ駅で乗り継いでコロッセオのすぐ近くにある駅へと向かう。
 最終日も寝起きには眩しすぎるほどの朝日が煌めく快晴で、地下鉄を下りてすぐ眼前に飛び込んできたのは、朝日を逆光にしてそびえ立つコロッセオ古代ローマの偉業の名残が時を経て今なおたたずむ様は圧巻である。

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 ちなみにコロッセオは西暦72年に着工され4万人の奴隷を遣ってわずか8年で完成させた代物らしい。当時、電動工具などある訳なく、すべて人力で行っていた訳だから、石ひとつ切り出して運ぶだけでもかなりの人手と時間がかっかったはずである。なのに8年で完成。しかも、闘技場をプールのように水を貯めて水上模擬戦を行ったり、猛獣たちを地下から闘技場に登場させるなどのギミック満載な代物らしい。
 4万人を統括して完成にいたらせるローマ皇帝の絶対権力と現場監督の統括力の高さ。でもそれって、人を人とは思わぬ所業ゆえのなせる業でもある訳で。代わりはいくらでもいるぞとばかりに奴隷たちを昼夜問わず働かせるブラック企業もビックリの真っ黒な8年間だったのではないかしら。そう思うと、コロッセオの岩肌に染み込んだ名もなき人々の涙と汗にぞっとする。

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 コロッセオの観覧時間は8時30分からだったが中を見ていたらホテルのチェックアウトに間に合わない…というか朝食をくいっぱぐれる。ということでコロッセオの周りを2周ほどして外観を舐めるように堪能してから戻ることに。

 

●最終日にしてまさかの事件発生!
 だがこの行動がまずかった。早起き、朝食前、コロッセオの圧倒的存在に忘我の境地というトリプルコンボで気持ちはすっかり現実から古代へ。悪名名高いテルミニ駅の乗り換えを失敗し、いつもなら即座に表示等を見つける集中力もなくボーッとしたところに近づく謎の母娘。乗り換えのエレベーターを案内するよと身振り手振りで誘導されてフラフラとついていってしまったのだ…!
 エレベーターの狭い密室、移民系の母と10代後半くらいと思しき娘の2人に挟まれ、なぜかエレベーターが動かない。降りる階を押せといってるっぽいがお腹が空いて朦朧としている身には読解力もナッシング。馬鹿みたいに突っ立ってたら、ポトリと何かが落ちる音。ふと我に返って見下ろせば、何故か私の小銭入れが落ちている。これってスリじゃん~~!? 慌てて我に返り、「私の財布!」と思わず日本語で声を上げて小銭入れを拾い上げ、ファスナーの開いたバッグを今更ながらに必死に抱き締める。と、任務失敗と悟った親子はそそくさとエレベーターから去って行ったのだった。
 まさに油断大敵、自業自得。
 最終日にして旅行前にさんざん脅されていたスリに合うとは。
 恐る恐るバッグの中を確かめるとカードもスマホも無事だった。ハンドタオルの二重底作戦が功を奏したらしい。財布は最終日ということで小銭入れに5€ほどしか入ってなかったが、その小銭も取られずに済み、未遂で終わって本当に良かった…。

 

 それでも初めての体験に心臓がバクバク鳴り響き、なんとかホテルに戻ってシャワーを浴び直して朝食を摂ってコーヒーを飲み終わったところで、ようやっと心臓も通常の鼓動に戻った。もう、そのくらい怖かったし油断しまくった己が情けなかった。最終日で気がゆるんでいたことと、初めてのひとり旅、思った以上にトラブルなく過ごせた慢心が心の隙を作りだしてしまった。お家に帰るまでが旅行。おひとり様の一人旅は自分の身は自分で守るしかないのだと、改めて自衛の大切さを実感するのだった。

 

 そうこうしているうちにチェックアウトの時間。ジョバンニ(仮)に別れをつげ、そういや最後までこのホテルのオーナーに会わなかったなと、なんだか狐につままれた気分でホテルを後に(後日、メールでお礼を伝えたら返信をくれたのでたぶん実在している)。スリに合ったショックがまだ尾をひきづっており、旅の最後の記憶がスリだなんてめちゃ切ないと、駅前の教会でお口直しならぬ記憶の上書きをすることに。

 

●優美かつ豪華なサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂

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 ちょっと不純な動機で通りすがりに入ったこの教会、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂という、実はローマ4大聖堂の一つだった。簡素な外観から気軽な気分で入ってみたら、中は圧倒的な豪華さ! 格子状の天井は格子部分が金箔で縁取られ白亜の柱で支えられたアーチ型の窓が並ぶ壁面は絵画でみっちり埋め尽くされている。まさに絢爛豪華な教会に気分も一気に浮上♪
 やはり圧倒的な美というものは、ちっぽけな自我を凌駕してくれて心地良い。

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 こうして最後にちょっとしたトラブルに会いつつも、テルミニ駅の切符売り場で同じ轍は踏まないぞと近寄るエセ案内人を威嚇して追いやりながら快適なレオナルド・エクスプレスで空港へ。
 無事に出国手続きをして空港内のレストランでほうれん草のソテーとブロセッコで一息ついたのち、アリタリア航空で日本へと。帰りの便も一番後ろの窓際ではあったが、隣が初老のおばさま方だった気楽さと長旅の疲れで半分くらい眠っていたのでなんだかあっと言う間に成田に到着。

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帰りの便でようやっと食べれたイタリアンの機内食


 こうして40代のおひとり様の初めての超初心者海外旅行は無事にミッション終了となったのだった。

 

 実はこの手記を書いているのは2019年の夏なのだが、あの旅から1年たった今でも当時の思い出がつい最近のように鮮やかに蘇ってくる。

 40代にしておひとり様で何も無い何も無しえていない人生ではあるけれど、年齢関係なく楽しいものは楽しい、好きなものは好きだと強く思い直せる最高の旅だった。

 

 

 こうしてすっかり海外旅行にハマってしまった私は、秋口に年末は9連休になると分かったとたん、半ば無意識にエクスペディア様を立ち上げ、次なる冒険の書を手に入れようとしたのだった。

 

 年末年始のぼっち感が半端なかった次なる旅の物語は、またの機会に。