伊豆長岡で日本の近代化の夜明けを体感【世界遺産 韮山反射炉】
6月末、梅雨の長雨にテンションだだ下がり、どうせ外出もままならないなら温泉宿でのんびりしっぽりすごそうか…と、思い立って伊豆の温泉地の一つ「長岡温泉」を訪れてみたら、真夏日ばりの晴天に…!
となったら思いっきり観光するっきゃないぞと、Googleマップで調べてみたら伊豆長岡駅の近くに、江戸末期に建造された「韮山反射炉」があるらしい。
昨年、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」にハマった身としては行かねばなるまい。
www.city.izunokuni.shizuoka.jp
宿で朝ごはんをモリモリ食べて気合も十分に、運動がてら徒歩で向かうことにしてみたら、延々と続く長閑な風景。
韮山反射炉の尖塔の先くらい見えるかと思いきや何も見当たらず、ピーカンの青空の下、ただひたすら田んぼ道を突き進むことに。
せっかくなので自然も楽しもうと、韮山反射炉の近くにある小さな丘に佇む鴨川神社にも立ち寄ってみた。
誰もいない神社の静けさが心に沁みる。
住宅街の端っこというか、田園と山の合間にニョキっと建立する謎の塔って感じが面白い。
まずは韮山反射炉ガイダンスセンターで入館手続きをして、展示物を堪能。
世界遺産認定されたおかげで予算も出たのか、紹介映像がなかなか良い演出で作られていて、かつ分かりやすい説明で良かった。
どうやら世界遺産になったのは韮山反射炉だけではなく、『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』として、韮山反射炉を含む日本全国に点在する明治初期に作られた産業革命遺産がまとめて登録されているらしい。
※九州(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県)・山口県を中心に、静岡県や岩手県を含む8県11市に分散して立地されている遺跡など。
韮山反射炉は韮山代官の江川英龍さんが、江戸時代末期にいち早く諸外国に立ち向かうための武器鋳造の必要性を唱えプランニングしたもので、最初は伊豆下田を予定していたところ、ペリーの黒船襲来によって急遽、伊豆長岡に変更したそうな。
江川英龍さんは建造半ばで病死してしまったものの、息子が跡を継いで無事に完成させ、西洋式大砲を鋳造したという、江川家のファミリーヒストリーでもあるのがエモい。
しかも江川英龍さんは先見の明に優れていて、もし外国と戦争になった時の兵糧としてパン(乾パン)に注目して日本人で初めてパン作りに携わったとか。
今、日本でもパン屋が激増して美味しいパンが食べられるようになったのも、こうやって新しいことに積極的にチャレンジした先代の伊人たちのおかげなのだなぁと改めて思う。
やれない言い訳ばかり並べるのではなく、まずやってみる勇気って大切!
だって、やってみないと分からないし、やらなきゃ何も始まらないものね。
ちょうど仕事でネガティブな同僚たちに辟易していて温泉で癒されたい~と思い立って伊豆に行ってみたからこそ、こうして時を超えて思わぬ出会いがあったのだと思うと、旅って心身ともにリフレッシュされるしいつもと違う経験もできて本当に良いなと思う。
そしてガイダンスセンターを抜けるとすぐ目の前に韮山反射炉が…!!
※丸い穴から熱々どころか灼熱のドロドロに溶けた鉄が流れ出て、大砲の型に流し込まれる。
当時は全体を漆喰で覆われていたそうで、緑多い伊豆の地に突如出現した白亜の塔。しかも昼夜問わず鉄を溶かすためにガンガン炊かれてモクモク煙もでてただろうから、一体何事⁉と、当時の人たちはさぞ驚いたことだろう。
韮山反射炉は高さ約15mなので、ビルの4~5階建てくらいだろうか。
江戸末期は藁ぶき屋根の平屋ばっかりだったろうから、巨大建立物って感じだったろうな。
などと、晴天のもと江戸末期~明治初期の浪漫に想いを馳せまくっていたら、すっかり喉がカラカラに。たくさん食べたはずの朝食も消化されまくりお腹が空いたので、韮山反射炉の隣、川を挟んで建てられている土産屋も兼ねたビヤレストランほむらで昼食をとることに。
お店の前には江川英龍さんの銅像が鎮座しており、背後に韮山反射炉を背負って撮影スポットになっていた。
雲が少なければ富士山も見えたハズ…。
旅の醍醐味の一つ!昼からビール‼
…ということで、頼んだのはクラフトビールの飲み比べセット。
ちょうど「鎌倉殿の13人」も放送中だし!ということで8種類の中から北条泰時など鎌倉時代の武人をモチーフにした4種類のビールがセットになった武人セットで喉を潤す。
ライトでフルーティな香りの高いものから、コクのある黒ビールまでどれも美味しい♪
そして韮山反射炉い感動しまくったせいで、思わず頼んでしまった韮山反射炉カレー。
炭火焼の鶏もも肉が片足分ドーンと鎮座し、ご飯が韮山反射炉の形を模している。
しかも型に白米を詰め込んで、しかも2つの塔を再現するためか、お米自体も実はけっこうどころかかなりのボリューム…。
私には白亜の塔は攻略しきれなかった…。
(チキンとルーはビールと一緒に美味しく全部いただきました☆)
かなり満腹になりながら、お店の横手から登れる展望台へ。
夏も近づく八十八夜な茶畑ごしに、伊豆長岡を一望できる。
うっすら富士山のシルエットも見えて、静岡県に来たんだなぁと改めて実感。
なぜか縁結び的なものなのか、インスタ映えを狙ってかのハートのオブジェ越しにも一枚。
思わぬ出会いだった韮山反射炉は、維新の風が吹く素敵な場所だった。