石老山に行ってみたらビックリ体験⁉ 秋の登山にチャレンジ
天高く馬肥える秋、ということで11月になっても夏日を記録するほどの暑さの今日この頃、11月の文化の日前後は気象的に降水確率が低く快天日ということから、ちょっくら秋の空気を満喫すべくハイキングにでも行ってみようか…!と思い立ったが吉日で相模湖を臨む石老山へ行くことに。
長野旅行に行った際に、中央線からわずかに見えた相模湖にいつか行ってみたいなぁと思っていたので、今回は相模湖も眺めることができる山にしようということで選んだ石老山。
ネットの観光情報で日帰りで楽しめる初心者コースらしいとあったので、気軽にハイキングして午後は温泉と湖を散策しようかな♪と思っていたのに、まさかあんな目に合うとは……
恐るべし石老山。
三連休ということで、体力的に中日に行くことにして、前日は食糧&日用品の買い出しに。
ここ最近はお天気も良いとはいえ、念のため山道を歩くのに万が一、濡れた岩で滑っても嫌だし、スニーカーでは心もとないかなと思って、お安めのトレッキングシューズも購入。
そして迎えた当日。なんとか7時台という私的には超頑張った早起きであわただしく朝食を済ませて、服装は登山用の服などないので、ありあわせのジャージとTシャツとネルシャツという「ちょっくら近所の裏山へ」的な恰好で、いざ相模湖へ!
片道一時間強と思った以上に近くてビックリ。
1つ前が高尾駅なので、今度は高尾山も良いかも~と思いながら、相模原駅に降り立ったら、想像以上にローカル。
高尾駅がそこそこ栄えてたっぽいので、急に現れた迫る山々に、あれ?ここ東京?(正確には神奈川)とビックリ。
駅からバスに乗り換えて登山口に向かうのだが、バス停には家族連れやカップル、若い女の子たちの集団と長蛇の列。
しかも超カジュアル、中にはデート仕様なヒラヒラスカートの女の子もいて、そういや高尾山に行った時に、サンダル&ヒラヒラスカートで彼氏と一緒に登ってた子がいたなぁと…遠い昔に想いを馳せていたら、乗客の95%が登山口の1つ前のさがみ湖プレジャーフォレストで降りてしまった。
プレジャーフォレストは遊園地や温泉、キャンプ場を併設している施設で、乗客はプレジャーフォレスト目当ての客が大半だったらしい。
バスの中に残された数名は、ガチ登山仕様の客たち……(私以外は)。
あれ⁉私、もしかして場違い…?
そんな不安を少々抱えながら降りた石老山登山口。
のどかな田舎の風景が広がり、秋の行楽日和で気持ちは上々。
アスファルトの道をてくてく歩きながら登山口を目指す。
病院横の登山口から山に入ったのだが、数十メートルも行かないうちに、急勾配の山道が出現…‼
マジで⁉
石老山は中腹にお寺があるらしいので、そこまではそれなりに舗装された山道か思ったのに、突然の自然100%な風景にビックリ。
ほんとにこの先にお寺何ぞあるの⁉ 建材なんて運ぶ道なくない⁉と思いながら、目の前の山道…というか、大きな石の連なる獣道のようなところをひたすら登っていく。
途中途中に巨石が点在しており、岩好きにはたまらん光景が広がり、テンションだけは高まるも身体がついていかない。
岩場を登るということは、自身の体を数十センチ上の足場に移動させるということでもあり。それがもう重いのなんの。更年期の影響でここ最近、太ったせいで自分の体の重さと地球の重力をいやというほど思い知らされる。
子ども時代、山道、ひょいひょい登った記憶でイケるっしょ!と思ってたけど、イケないっしょ…だった。
そう子どもの頃は私、ガリガリに痩せてたんだった…。細い体に無駄のない筋肉がついたハイジだった。そりゃ身軽にひょいひょい行けたわな。
されど今の私はピーターのお母ちゃんか?いや、長らく都会生活を過ごしたロッテンマーヤさん。足腰が全くもって追い付かない。
ハイジの故郷を訪れた時の披露困憊で顔面蒼白だったロッテンマーヤさんの気持ちが今ならすごく分かる。
入口の看板にお寺まで400mと書いてあったような気がするが、全くもって辿りつかない。
目の前は岩、岩、岩。
どうせなら巨岩を愉しみたいな♪と軽い気持ちで選んだこのコース。
確かに、巨石、奇岩好きには最高のルートだった。
ようやく奇岩コースを登り切って山の中腹にある顕鏡寺に到着。
お寺からは法事を終えた喪服姿の人々が。
あれ?あんなキレいな恰好してどうやって来れたの?と思ったら、なんと、登ってきた奇岩コースのすぐそばにアスファルトの舗道があるではないか…!
お寺までは車で行く道がちゃんとあったのである。
そりゃそーだ、、、
とはいえ、目の前に迫る奇岩を楽しめたので、顕鏡寺までの奇岩ルートは、岩好きの人はぜひ!
お寺で水とお菓子で小休憩をして、いざ山頂へ。
お寺が山の中腹ということはあと半分くらいで山頂なのかしら?と思ったのだが、ここからがめちゃ長かった…‼
観光協会の案内によると、お寺まで35分、そこから山頂まで80分とのこと。
最長1時間半くらいの山登りしか体験してこなかった身には、すでにもうお寺にたどりついただけで足腰がけっこう来ている。
とはいえ、せっかく来たわけだし、お寺に止めた車から出てきた家族連れが楽しそうに山頂に向かったし、あのチビっこたちが行けるなら多分私もいけるハズ…と、自身を鼓舞して再び山の中へ。
途中、桜山展望台経由と八方岩経由と2つに分かれるコースが。眺望の良さそうな展望台コースに心ひかれつつも、今回の山登りの目的の1つが奇岩鑑賞だったので、「八方岩」と書かれてるからには良い奇岩があるに違いないという欲望のまま、八方岩コースへ突入。
正直、身体的には後悔。めっちゃ高低差ある段差や根っこ乗り越えてかなきゃならない。
でもでも、道中、最高に岩だらけ!奇岩だらけ!
めちゃ長きにわたる自然の作りたもうた彫刻たちよ…!な面白い形をした巨石がゴロゴロしている。
コースの途中でいくつか紹介されている巨石があるのだが、どれも十数メートル~20数メートルサイズ。
ついつい大きいものを鑑賞するとき、ガンダムのMSのサイズと比較してしまうクセがあるのだが、今回もνガンダムが横たわったサイズかぁ、こっちはWガンダムかぁなどと思いながら鑑賞。
バスに同乗し、後から登ってきた男女コンビの男性が相手の女性に向かって「ほら~やっぱりこっちのコースが当たりだよ!見てこの岩‼」と大声ではしゃぐ姿に、そうだねうんうん、私もそう思うよ、でも五月蠅いから黙れや、とシンパシーとウザさへの八つ当たりの入り混じった、まだまだ私、人間できてませんわぁ…な、ひじょうに人間味あふれる感情を内心で高めつつ、もはや表情筋も動かせず無表情に一人黙々と歩を進めていく。
八方岩コースを終えてあとはただひたすらに山頂を目指す…のだが、先が長い…長すぎる。
80分コースは伊達じゃない…。
根っこだらけの道や、途中途中、相模湖を木々の間に眺望したり、もしや土砂崩れ後では?というむき出しの山肌に怯えたり、杉山の中を歩いたりしながらひたすらに歩く、歩く。
途中、体力がつきて家族連れに追い抜かれ、がんばって歩くちびっこの姿に、あんな小さい子があるけるなら私も歩ける!と勇気をもらいながら、ただひたすら山中を歩く。
もうテンション上げるどころか次の一歩を踏み出す気力で精一杯で、写真を撮る余裕など一切無し。
そうこうして、いつまで続くんだ~~~~~という思いを抱えつつも、がんばって一歩一歩進んだおかげでなんとか山頂に到着。
いやぁ、頑張った!
ようやっとたどり着いた…!
疲れすぎて山頂からの風景を満喫する余裕もあんまりなかったが、辿りついた人々の歓喜の声に妙な一体感を覚えながら昼食。
周りではお手製のオニギが主流のようだ。なんなら家族で登山して焼きそば作っている一団もいたり。
確かにこの疲弊にはオニギリというかお米は効きそう。
私もオニギリ買っておけばよかった…。めちゃ美味しそう。
気軽なハイキングくらいに思っていた私が持参した食糧は総菜パン1個と少々のお菓子のみ。こんなに歩くとも思っていなかったので山降りてからガッツリ昼食とれば良いかも~、でも念のためパンくらい用意しとこ、という舐めた軽装備だったのである。
でもでも、総菜パンも塩気が疲れた体に沁みてマジで美味しかった。
甘いパンじゃなく、総菜パンにしてよかった。
念のためにと購入しておいた昨日の私、グッジョブ。
さて、パンも食べて気力も取り戻したし、あとは山をくだるだけ!
帰りはもっと楽な道がないかなぁと検索してみたら、顕鏡寺ルートは初心者以上コース、篠原コースは初心者向け…と記載しているサイトを発見。ならもう初心者向けコースでしょ!と思い、登ってきた道とは別のルートで降りることに。
けっこうなだらかな山道が続き、やった!楽勝!と思ったのもつかの間、15~20分ほど進むと、だんだん山道の勾配がきな臭くなってきた。根っこもゴロゴロ露出しはじめてきたではないか。
あれ?初心者向けでは?と思いながらも、目の前の道はただ1本のみ。進むしかない。
ただひたすらアップダウンの激しい道を進んでいく。
途中、あれ?これって尾根っていう奴じゃない⁉と思う幅40~50センチの細い道をビクつきながら歩き続け、あまりの山道の長さに、頭の中では山を下りたら温泉!ビール!唐揚げ!と呪文のように唱え続け、ただひたすら目の前の危機を乗り越えるべく、次なる一歩をどこに置くかに細心の注意を払い続ける。
もうこなると、人間、だいぶシンプルな構造になるのだ。
食への欲求と目の前の危機に瞬時に対処すべく発揮される注意力と集中力で脳のキャパオーバーなのである。
日々の仕事の些末ないらつきなどもうこの際、どうでもよくなっちゃうのである。
ここ最近は仕事もそこまでのストレスなかったものの、喉に刺さった小骨のようなイラつきはままある訳で。
でももうそんなのどうでもええわ、ってなって来る。
それよりも目の前の危機!
一歩間違えば滑落一直線。そこまでいかなくても木の根っこで転んだら捻挫、下手したら骨折。
しかも、立ち止まったら日が暮れて山の中で独りぼっちという恐怖。
下山することに全集中☆である。それ以上でもそれ以下でもない。
そんな思いで30分ほど黙々と進んでいくと心身の疲弊も最大ピークに。
となると
「おお神よ…!なぜこんな山道をつくったのですか」
と思わずにはいられない。
神様的には、いや知らんがな、勝手に登ってきたのは人間じゃん…てな心境だろうが、勝手に登山しに来た身ながら、思わずこの苦行ともいえる行為になんらかの意味を見出したくなってしまうのが哀しい人間の性なのである。
冷静に考えれば、自身の体力を舐めて気楽に山に入った自分のせいでしかない100%自業自得の所業なのだが。
そうこうしながらだいぶ疲弊してきたところで、小さな祠を発見。
やはり神はおったか…!と山岳信仰ってこういうことなのかもと思ったり。
小休止してから再び歩き続け、木々の合間に人工物らしきものを発見した時の喜びといったら!
きっとあれが展望台⁉ 半分以上来たってことだよね⁉
と嬉々として近づくと、そこには絶景。そして眼下の谷間に絶叫(内心で)。
さて、ここからが問題です。
展望台から下山するには2つのコースがあるそうです。
石老山ハイキング メインコース(東海自然歩道)復旧のご案内 - ぶらり相模湖|県立相模湖公園|相模湖観光協会 (sagamiko.info)
「チャレンジコース」と「東海自然歩道」とあったら、人間、「チャレンジ」と書いてあるほうにはいきたくないですよね?
文字的に「自然歩道」のほうが歩きやすそうじゃないですか。
披露困憊の私的には「自然歩道」一択ですよ!
ということで、「東海自然歩道」コースを選んだつもりだったのですが、進めども分岐点らしきものは見当たらず。
「チャンレンジコース」という標識も見当たらない訳ですよ。
でも目の前の道は1本しかない。
なら、進むしかないよね…‼ だって進まなきゃ下山できずに山で遭難しかねないもん。
そんな思いでとにもかくにも進むのですが、まぁ、道の険しさといったら!
細い尾根あり、岩場でロープを伝わなきゃ危なそうな足場アリ、急な下りかつ土というより砂状のサラサラとすべりやすそうな道、ラクダのこぶかな?と思うような降りては上がりまた降りては上がる上下にうねる道、いろは坂の歩道版かな?と思うような急なヘアピン坂がとぐろを巻く坂…と、まぁ、面白山道フルコースが続く続く。
ほんとにこの道なの?でも目の前、一本道だしなぁと不安になりつつも進む進む。
そうして…突然、開ける目の前。
眼下に迫る相模湖…‼
なんとまぁ圧巻の景色‼
そこからは階段と呼ぶには段差も高く急勾配な道をこれまた延々と降りて、そうして見えたアスファルト!
人工物!人里!帰ってきたぞ…‼という歓喜で降り立ったアスファルトを噛みしめつつ、振り返ると、入口の看板には「大明神展望台登山口」。
いやこれチャレンジコースじゃん~~~‼
思わず、素で叫んでしまった。
誰もおらず良かった。
いや誰か一緒にいたら、早々にコース間違いを指摘してくれたような気もするが。
翌日、改めてガイドマップを確認したら、初心者コースと紹介されていた篠原コースは、山頂で早々に分岐されていたのであった…。
(ちなみに、東海自然歩道も自然豊富なガチな岩場もあるコースだったらしい…どっちの道を選んでも険しかった)
sekirouzan202210.pdf (sagamiko.info)
そういや、山頂から下山する際、分岐コースをいくつか見たような気がする…。
でもそっちは長距離ぽかったから早々に選択肢から外したんだった…。
ずっと初心者コースだと思い込んで、途中、ほんとにこれ初心者コース?とたびたび疑心暗鬼になりつつも、さっそうと降りて行った中年夫婦らしきお二人もいたし、なら自分も行けるはずと思い込んだおかげか。人間、為せば成るとはこのことか…と。
そうして改めて実感したのだが、私、登山は超初心者だった。
登山慣れ親しんだ人が書いたブログとかって、超初心者が読むと危険。
だって、登山愛好家にとっての「初心者」「初級」「気軽な日帰り」って、プロ目線の言葉だから!
そりゃ数日にわたって過酷な登山を経験している方々からしたら、日帰り数時間コースなんて気楽なコースだよね。
今回の石老山、超初心者にとってはマジで上級コースでしたわ…。
山を舐めてはいけないということを改めて身に染みた2023年の秋でした。
とはいえ登った達成感やめくるめく奇岩の楽しみ、日ごろ忘れていた自然の驚異の片鱗と、日常では得難い体験が多々あって楽しかったのも事実。
4時間半の秋の山中大冒険!
行って良かった‼ 超リフレッシュ‼
体力をもうちょっとつけて、オニギリ持っていつかまた石老山に登ってみたい。
下山後はさがみ湖プレジャーフォレストの「さがみ湖うるり」の温泉でさっぱりと。
さがみ湖温泉うるり | さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト (sagamiko-resort.jp)
ビールと枝豆と手羽先の黒コショウ焼きという最強の三種の神器ならぬ、酒飲みのための三種の酒盛りセットが最高に美味しい。
唐揚げもあったけど名物と書いてあった手羽元に惹かれ、下山したてでまだ若干、野生の気持ちが残っていたため、手羽元を素手でつかんで齧りつく。
たまらん旨さ。
いやぁ、山も良いけど、美味しいお酒と温泉、やっぱりサイコー!
あまりに疲れてその夜は爆睡。
9時間半も熟睡してしまったのだった。