nanami-JP’s blog

40代おひとり様の日々のささやかな幸せ探し。日々の楽しみや旅行記などを徒然に。

40代おひとり様の超初心者海外旅行【イタリア7日目】

■7日目: 東京ディズニーランドならぬ夢の国のカトリック総本山ヴァチカン市国

 

 翌日の午後はもう帰国ということで、終日観光できるのは最終日となった7日目。

 この日は丸一日をヴァチカン市国で過ごそうと、毎日歩き回ってだいぶ疲れた体を激励しそこそこ早起きして朝食を摂る部屋へ。ダイニングルームといった趣のこじんまりとした一室で、チーズやハムを中心としたシンプルな朝食。居候先のおばさんが作ってくれた朝食ってな面持ちで、なんだかほっこり気分に。実際のところ作ってくれてたのは、この3室しかないB&Bホテルの唯一のスタッフと思われる20代くらいの移民系男性スタッフだったが。名前を上手く聞き取れず、勝手にジョバンニ(仮)と命名

 このジョバンニ(仮)がだいぶフランクな輩で、朝食が終りかけてコーヒー飲みながらまったりしたところを見計らい、観光マップを手に話しかけてきた。おひとり様のイタリア周遊、7日目にして初めて会話らしきものが発生。それまでは単語を一言二言でほぼ済んでいたのだ。とはいえ、会話といっても簡単な単語を適当につなげたなんちゃって英語。ジョバンニ(仮)も英語はそこまで堪能ではないので、逆に聞き取りやすい。今日はヴァチカンに行くことを伝えると、親切にも地下鉄の最寄駅や行き方を観光マップに書き込んでくれた。

 

 ジョバンニ(仮)情報を頼りに地下鉄の駅を目指したら駅もすぐに見つかり、まさにグラッチェ・ジョバンニ(仮)!状態。
 

 ローマの地下鉄は24時間チケットもあったが、今日は1日ヴァチカンで過ごす気満々だったので、1回分を買うことに。しかもオペラ座近くの地下鉄駅からヴァチカンの最寄駅は乗り換えなしの1本で行けるのでとっても楽ちん。ひとまず降りる駅の名前を頭の中で呪文のように復唱しながら、なんとか無事にヴァチカンの最寄駅に到着することができた。

 

●ヴァチカン市国 

 事前のガイドブック情報によると、ヴァチカン市国の有名な見どころと言えばサン・ピエトロ聖堂とヴァチカン美術館とのことで、日本で美術館の予約だけはなんとかしておいた。10時15分からの予約ということで、10時ちょいすぎに美術館に辿り着くと、すでにもうけっこうな人が。英語サイトに四苦八苦しながらも予約しておいて大正解! ほとんど待ち時間なく入場することができた。
 ヴァチカン美術館もイタリアの他の有名美術館と同じく、かなり広大な敷地にこれでもかという数の美術品が彫刻や絵画とカテゴリー分けされ、かなり由緒ある美術品の数々がむき出しで何気なさを装ってそこかしこに展示されている。まるで美の宝石箱のような圧倒的空間!

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 そして続々と入場する観光客の波にのまれ、展示ルートもよく分からないまま、人波に流されるままに展示物を鑑賞。

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 林立する彫像に圧倒されながら場内を回遊し、長い半円柱のような天井にみっちり描かれた絵画に飲み込まれそうになり、中庭に辿りついたところで案内板にラファエロと書かれていることに気づいて案内を頼りに絵画コーナーへ。

 

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 絵画館で敬愛するラファエロの「キリストの変容」に遭遇したり、愛らしい天使たちが楽器を奏でる姿に出会ったり、かといえば荒んだ荒野に佇むひからびた老体にビビッたりと、めくるめく邂逅に胸躍らせながら美の奔流に飲み込まれながらさまようこと数時間。

 

 ついにラファエロの間に辿りつく。そこには高校時代に図書館で見た美術書に描かれていた「アテネの学堂」が! この絵はギリシャの賢人たちが描かれているのだが、その様相はラファエロが生きていた当時の同じ画家仲間たちらしい。要はコスプレ?…といっては身もふたもないが、ギリシャの賢人と中世の人気画家たちの様相が2重に楽しめる代物なのだ。しかもラファエロ自身もちゃっかりそこに描かれているというおちゃめさも。

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 ラファエロの壁画を十分に満喫した後は、この美術館一番の目玉といわれているシスティーナ礼拝堂へ。観光客がこの礼拝堂だけは見なきゃ!と押し寄せるのでこの礼拝堂近辺はすごい人混み。そんな人々の頭上に繰り広げられるミケランジェロ最後の審判。この礼拝堂全体がある意味カオス。でもそれこそが世界なのだと、真理の一端を垣間見たような気持ちになった。

 

■昼食はお手軽なピザ&コーラ 

 ヴァチカン美術館を大満喫してさすがに疲れたので、美術館の地下にあるイートインでピザとコーラのセットと、さっきまでの崇高な気持ちもすっかり吹き飛ぶジャンキーな遅めの昼食で一息。具はボリューミィだが冷えはじめたチープな味に、意識を一気に現実に引き戻されたのだった。

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●サン・ピエトロ聖堂

 お腹も満たしLサイズのコーラで水分もがっつり摂った後は、もう一つの名所、サン・ピエトロ聖堂へ。聖堂は予約ができないので、サン・ピエトロ広場を半周しそうな長蛇の列に慄きつつも、大人しく並ぶしかない。人種も老若男女も関係なく、みな平等に並ぶしかないというのはある意味、神聖な場を訪れるための儀式のようでもある。そうして、ただひたすら並んで待って待って待つこと約一時間強、ようやく聖堂の入り口に。

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 大聖堂前ではセキュリティチェックが行われる厳重さ。確かにカトリックの総本山の大聖堂。聖堂の右側の建物には教皇のお部屋がある訳で、そりゃセキュリティもしっかりせねばというもの。
 待ちに待った大聖堂の内部はこれまた息を飲む荘厳さ。柱も天井も床もどこを見ても厚い信仰の塊で生み出された緻密な装飾で埋め尽くされている。流石、総本山。神聖さも権威も半端ない。

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 聖堂の端っこに佇み、しばし忘我の時間を過ごし、ただただ圧倒されるしかなかった。

 

 この空間の荘厳さと静謐さを味わえたのだから、1時間並ぶ価値は十二分にあった。しかも拝観は無料という太っ腹!
 この大聖堂もクーポラに登れるらしいのだが、並ぶ体力が底を付き断念。ヴァチカン市国を一望したかった……。
 美術館と大聖堂と広場とを満喫し、時間はすっかり夕方17時すぎ。実に7時間強の魂のトリップだった。


 ちなみにヴァチカン市国の広さは東京ディズニーランドと同じくらいらしい。

 美術館も所々すっとばしてみてしまったので、まだまだ見どころがあったはずだし、クーポラも登りたかったし、広場や中庭でもっとのんびりしたかったなと思うと、1日でも足りないくらい。もっといたい気分にさせる。私にとってヴァチカン市国はディズニーランドよりも夢の国だった。

 

 ヴァチカン観光で気力体力を使い果たし、今日はもうホテルに戻ろうと思いつつも、昼のピザが納得いかず、美味しいピザを食べるまで今日は終えられん…!と最終日にして妙な意欲に燃え上ってしまい、ピザ屋を探す旅に。グーグルマップ君の協力でヴァチカン市国からちょっと歩いたところに人気のピザ屋があるらしいと知り若干迷いながらもなんとか店に辿り着くと、かなりこじんまりした雰囲気のお店。それでも店の奥に並ぶガラスケースの中にはさまざまな種類のピザ!そしてさらにその奥では大きなオーブンが焼き立てピザを作り出している。
 その場で食べるつもりでいたのだが、どうやらテイクアウトがメインのお店らしく、仕方なく2種類のピザを包んでもらう。その後にハッと気づいたのだが、ピザ持ったまま地下鉄に乗らねばホテルに帰れない。途中どこかのベンチで食べても良かったのだが、どうにもひっそり食べるのに良さげなベンチが見当たらず…。結局、ピザを両手で丁重に掲げながら地下鉄に乗って帰ることに。
 夕刻の地下鉄に美味しいチーズ臭をまき散らしてしまったことは申し訳ない…。
 前日の夜に見つけたホテル近くの安い酒屋でビールを購入し、夕食はホテルの部屋でピザとビール♪ さすが人気のピザ屋。冷めても美味しい! ホテルの広々とした部屋でゆったりソファーに座ってテレビを見ながら、周りの目を気にすることなくリラックスしてビールとピザを気ままに食べる時間はまさに至福の時。レストランでなくホテルでテイクアウトしたものを食べる楽しさも発見したのだった。

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