nanami-JP’s blog

40代おひとり様の日々のささやかな幸せ探し。日々の楽しみや旅行記などを徒然に。

40代おひとり様の超初心者海外旅行【イタリア4日目】

■4日目:さらば花の都フィレンツェ! そして初めまして水の都ヴェニス

 旅も中盤へと差し掛かり、4日目は憧れの水の都ヴェニスへ。
 とはいえチェックアウトは12時で列車は13時台なので、午前中は名残惜しいフィレンツェを時間が許す限り散策することに。
 ホテルから徒歩数分で有名な教会があると知り、朝イチで向かう。

 

●サンタ・クローチェ教会

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イタリアの偉人たちが眠るサンタ・クローチェ教会

 ホテルの通りを抜け、広場にたどりついて開けた視界の目の前に突如現れた白亜の教会。朝日で逆光になってしまっていたが、清々しい朝の光を浴びて佇む姿が美しい。
 ほぼ開館と同時に訪れたため、入場者の列もそこそこですぐに入ることができた。(帰り際に確認したらそれなりの列になっていて人気スポットだったと知る)
 昨日のサンア・マリア・ノッヴェラ教会と比較すると内装は男らしいというか堅牢な印象が強い。ストイックな空間に、祭壇奥のステンドグラスの煌めきだけが浮き上がり、これはこれでメリハリの効いた空間になっている。
 ちなみにこの教会の側廊にはミケランジェロガリレオといった偉人たちのお墓がまつられている…のだが、後になって知った為、誰がどこに眠っているのか1つ1つお墓を照合しそこねてしまった…。やはり事前知識は大切だと痛感。とはいえ、教会自体が美術的価値が高く見ていて飽きない素晴らしい建造物だったので、ボーッと眺めているだけで至福の時間だった。そしてこの教会の価値の一つとしてあげられるのが、1966年のフィレンツェ大洪水の爪痕を知れる事だろう。正直、この場所を訪れるまでフィレンツエでそんな大規模が洪水があったなど微塵も知らなかった…。
 展示室では当時の洪水の様子を紹介する映像が上映されており、半地下の部屋には洪水の水位跡が残されていて、天井間近まで迫っている水位跡に当時の惨状がどれほどのものだったかがうかがえる。そして、被害にあってほぼ壊滅状態だった「最後の晩餐」の絵が修復され修復前と修復後を比較できるようになっていた。
 天災はどうしようもないことだけれども、でもそれを受け入れながらも50年かけて少しずつ復旧した市民の尽力に脱帽。このフィレンツェという街に住まう人々のプライドと情熱を垣間見た気がした。

 

 その後、ホテルに戻り最後までツンデレを崩さなかったホテルマンに片言の感謝とタクシーの手配を頼み、ドアマンに見送られて駅へ。
 駅中のカフェでコーヒーと小ぶりなサンドイッチで小腹を満たす。

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朝食をたんまり食べた日本人の胃袋的には軽い昼食としてベストな量

 すっかりお気に入りのレ・フレッチェの一等車に乗って、次なる都市は水の都ヴェニスへ!


ヴェニス
レ・フレッチェに揺られること約2時間でヴェニスの唯一の鉄道駅ベネチア サンタ・ルチーアに到着。
 この2時間の車窓の旅もこれまた楽しかった。

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トスカーナ地方から北イタリアを抜け水の都ヴェニスに向かう車窓の旅

 トスカーナの緑緑しいブドウ畑と黄色い絨毯のようなひまわり畑を過ぎれば、小高い山(というか丘?)と岩肌が連なり、ジェノヴァに辿りつくころにはアルプスからの山風と地中海の海風が混ざり合うかのように少しだけ空気の色が変わり、そしてヴェニスに繋がる長大な橋を通過しながら眺める浅瀬の海! 完璧な水の都への導入ルート! 初めて訪れるヴェニスへの期待が俄然高まらずにはいられない。
 そうしてようやっと到着した、ちょっとこじんまりしたベネチア サンタ・ルチーア駅構内を抜けたとたん、目の前に広がる運河!石造りの町並み!青い空! もう最高のロケーション。憧れのヴェニスその地に自分が立っているという事実だけで感極まって、打ち震えてしまった。

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多数の水路がはりめぐらされ移動は主に水路から。まさに水の都!

 とはいえ、言うてもここもイタリア。駅前広場でボーッとしてたら置き引きやスリの良いカモになること間違いない。ひとまずはホテルのチェックインが先決と、水上バス「ヴァポレット」の乗船券売り場へ。チケットや数回分や24時間など数種類がある中、私は明後日の昼までの滞在なので48時間券を購入。ヴァポレットは最初の乗車時に打刻したら、その時間から日にちに関係なく時間計算で乗船できるのが嬉しい。これでヴェニス出発の2日後のお昼まで水上バスは乗り降りし放題。しかも最初の打刻さえしていれば都度、打刻しなくて良いという手軽さ。最初の打刻後に鞄の奥にしまいこめば落としたりすられたりという心配も無いというもの。
 さすが人気の観光地、そしてセレブ以外は徒歩をのぞけばみな水上バスが共通の交通手段とあって乗船券売り場も乗船場も激混み。おひとり様の初心者観光客としてはただひたすら無言で大人しくまんじりともせず待つしかない。それでも胸中はときめきで鼓動も高まっていた。実際、炎天下の暑さとハイテンションでちょっと朦朧としかけ、水上バスに乗るための狭い簡易架け橋の上でふらつき、あ、ここで倒れたらもれなく水中にドボンだよな…と。早々にしてヴェニスの水上都市構造を学ぶことに。
 なんとか乗船し、徒歩よりも実は遅いんじゃ?というか、いかに波をたてないかを最優先したゆったり速度でホテル近くの停留所へ。
 私が泊まるホテルはアカデミア美術館のすぐ近くで、島の人気観光地の中心部から少し離れていることもあり、比較的閑静な場所らしい。それがむしろヴェニスの日常の街に溶け込めるようでもあり。水上バス停留所すぐ近くを優先事項で選んだことも大正解。移動がだんぜん気軽で楽ちんだった。

 

 訪れたホテルはこじんまりとしていたが、土地の狭いヴェニスにしては貴重な前庭や中庭があって内装もヴェネチアガラスの照明やアンティークな置物がいたるところに飾られており、ゆったり滞在したくなる素敵な雰囲気で胸いっぱい。ヴァカンス気分がいっそう高まる所だった。ホテルについては【ホテル編(フィレンツエ)】へ。

 

●相乗りはつらいよラブワゴンなゴンドラ

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これぞヴェニス!な一枚

 ヴェニスといったらゴンドラはやっぱ外せないっしょ!とさっそくメインイベントを楽しむため、事前に日本でネット予約(日本語で手続きできるVELTRA様々である)していたゴンドラ乗り場へ。と向かうもさっそく道に迷う…。細い道が入り組んでいて、似たような雰囲気の建物が連なっているため、まるで迷路。しかもチケット兼ねた予約内容が記載されているバーチャーの地図がまったく役にたたないほど簡素な地図で、グーグルマップ君がいなかったら確実に辿りつけなかった。まさに身も心も袋小路。
 なんとかゴンドラ乗り場に辿りつくも、そこはメイン水路と細い水路がつながる場所に小さな小屋があるばかり。出発時間が近づくにつれ少しずつ集まり始めた客たちも初参加の初心者ばかりか、みな半信半疑の顔をしつつも、人種関係なく意外と律儀に列を形成して待つことに。
 18時15分の回を予約したのだが、予約時間間近に前の回のゴンドラたちが続々と戻ってきて、いかにもゴンドラ乗り場です感が一気に増した。まわりの観光客たちも一様に安堵した雰囲気で、思わず内心「だよね!」と合いの手を入れてしまった。
 予約したのはお安い乗り合わせ。複数のゴンドラで連なりながら船頭のカンツォーネを一緒に聴くというツアーだったので、乗員6~7人くらいに対して、家族やカップルがランダムに次々と乗せられていく。
 私が乗ったゴンドラは小学校低学年と幼稚園くらいの可愛い二人の女の子を連れた外国人の若いお母さん(たぶん30代)と、日本人の新婚カップル(推定20代後半か30代前半)、そして私1人(40代)……。ファミリーとカップルの間にちょこんと座ることになり、なんだか肩身が狭い。しかも新婚カップルの男性がことあるごとに奥さんの名前を呼んで振り向かせながら、奥さん越しのヴェニス☆な写真や動画を撮りまくることおびただしい。彼女の後ろにいた私は映り込まないように気を付けようと思いつつも、こっちも水路から見上げたヴェニスの町並みを激写しまくるのに執心し、気を遣う余裕などあるようで全く無し。あの関西弁カップルの旅の思い出写真に、背後霊のように無表情で無心でカメラ撮る姿が映り込んでたんだろうなぁ…と思うと、もはやホラーよりも怖い。やはりおひとり様で行く場合、ゴンドラは船頭とサシ勝負の気力があれば個人で貸し切るもよし、気力がなければ家族や友達連れの団体の中に紛れて端の席を確保し彫像のようにゴンドラの一部にひっそりと溶け込んだ状態で乗り込みたいものである。

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カンツォーネを聴きながらゴンドラから観る水の都

 

■夕食

 ゴンドラによる水上からのヴェニスを堪能し、ホテルまでの道のりをウィンドウショッピングしながら散策がてら、小腹が空いてきたので夕食を摂ることに。

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小路に連なる小さなお店の軒先で飾られている品々。ウィンドウショッピングするだけでも楽しい。


 バーカロに行ってみたいと思いつつも、訪れたばかりでまだこの土地の雰囲気になじんでいない身としてはお作法が分からず敷居が高い。ひとまずは手軽なトラットリアにしようと思いながら、おひとり様でも入れそうな雰囲気の店を探すうちにホテルのすぐ近くまで戻ってしまった。結局、ホテルと細い水路を挟んだ向かいにあるトラットリアに。
 選んだトラットリアは観光客よりも地元の客が多そうなアットホームさ。ひとまずビールを頼んで喉を潤しながらメニューを検討するも、やはりイタリア語と英語ではまったく分からない。取りあえずフライと書いてあったのでまぁ大きなハズれはないだろうと予測したアンティパストの盛り合わせらしきものと、ヴェニスに来たらやっぱり魚介が食べたい!という一身でフィッシュと書いてある欄の中から、ブラックソース=イカ墨?と予測したものをオーダーしてみた。
 まず運ばれてきたアンティパストは何かのコロッケらしきものとゆで卵に野菜が乗ったもの、そしてハムと色々楽しめる……が、それなりのボリューム。この一皿と一緒についてきたパンでお腹いっぱいになりそうな予感。とはいえビールに合う美味しさで満足。そしてその後に登場したのが白い皿に注がれた真っ黒な半ゲル状のもの。な、なにこれ!? まったく想定外の代物にビビりつつも一口食べてみれば、イカ墨の風味の中にイカ白身らしき魚の細切れが。後日、調べてみたところ、どうやらこの料理の正体はイカ墨で魚介を煮込んだ郷土料理らしい。付け合せの黄色いはんぺんのような不思議な食感の四角い2つの物体はトウモロコシの粉を水で練って固めた「ポレンタ」という代物。ちょっと塩気が強かったがまずまずの美味しさ、……ではあったが、それ以上に当面はイカ墨はもう良いかなと思わせるほどの見た目のインパクトだった。

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街角の気さくなトラットリア。味も庶民的。イカ墨のごった煮はインパクト大!