nanami-JP’s blog

40代おひとり様の日々のささやかな幸せ探し。日々の楽しみや旅行記などを徒然に。

40代おひとり様の超初心者海外旅行【イタリア5日目】

■5日目:偉大なる商人の都からパステルカラーなメルヘンな漁村、ヴェネチアガラスの工房の村とトリプル周遊

 

 イタリア周遊5日目にしてヴェニスの2日目となるこの日は、この地を丸々一日観光できる日ということで頑張って早起き(といっても7時30分)し朝食をお腹いっぱい食べていざ観光へ!


 午前中はヴェニスの観光地の中心ともいえるサンマルコ広場へ。

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サンマルコ広場

  広場最寄りの水上バス停留所を降りたところから、大人気の観光地だなとわかるにぎわい。土産の屋台が軒を連ね、運河沿いには多数のゴンドラが行きかう風景は絵に描いたかのような美しさ(いや現実の実景だけれども)。

 

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 そして多数の観光客とともに広場に辿り着くと、目の前に突如広がるサン・マルコ寺院。多数のアーチで形成された建造物はまるで薔薇の花びらのようでもあり。そしてファザードと呼ばれるアーチの壁面に描かれたモザイク画の彩が、この寺院に世界の縮図が秘められたかのような存在感を出している。
 寺院前の広場にはオシャレなカフェが連なり、オープンテラスの傍らではヴァイオリンの生演奏が優雅なメロディを広場いっぱいに響かせている。なんて美しく優雅な空間…!

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ドゥカーレ宮殿

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 サン・マルコ寺院に隣り合うようにして建てられた巨大な建物がドゥカーレ宮殿。9時台ですでたくさんの観光客が並んでいる。それでも団体客が多いせいか、一般客はルートが分けられていたようで思ったより待たずに入場。

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 宮殿は中世のヴェニスの商人たちの羽振りのよさで、ありあまった財力を投じた装飾。そしてやはり外せないのが、いたるところを埋め尽くす金箔と天井&壁画。天井を飾るシャンデリアはヴェネチアンガラスでつくられており、この都ならでは豪華絢爛さを出している。先にフィレンツェの宮殿をみまくったせいか、この宮殿はあまり目のいかない場所や梁の彫刻が意外と大振りな印象。遠いフィレンツェの芸術が人づてに辿りついて再現された為だろうか。

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そして、やはり水の上に浮かぶ水上都市としては建造物をいかに軽くするかた命運を分けるほどであるから、柱や梁、壁の厚さなどなるたけ軽量化しているせいなのかもしれない。

 

 ちなみにこの宮殿の面白さの一つが、地下に張り巡らされた地下牢だろうか。観光客の波に流されるままに宮殿内を歩き回っているうちに、気が付いたら地下牢ゾーンに突入していた。

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地上階の豪華さに反比例するかのようにむき出しの岩壁に通気性の悪い狭い通路が迷路のように張り巡らされ、他の観光客がいなければ出口に辿り着けないんじゃないかという距離が囚人を逃がさないぞという本気を感じさせる作りで怖い。まるで天国と地獄の両方を垣間見せてくれる宮殿だった。


●メルヘンな漁村ブラーノ島
午前中じっくりとドゥカーレ宮殿を満喫した後は、少し遠出をしてみようとブラーノ島へ行くことに。
 本当は私がヴェニスに憧れるきっかけとなったビスコンティ監督の映画「ベニスに死す」のロケ地であるリド島に行きたかったのだが、映画の主な舞台となったホテルが数年前に閉鎖されて今は立ち入り禁止になっていると知り断念。リド島の白砂のビーチをゆったり歩きながら、美少年の刹那の美に酔いしれた初老の教授に思いを馳せるのも良かったかもと思いつつ、今回は別の島へ。
 ガイドブックで紹介されていたパステルカラーに塗られた家屋が並ぶブラーノ島に行くには、本島の北側にある水上バス停留場からだと乗り換えなしで行くことができる。
 乗り間違いを回避するためにも直通のにしよう!ということで、サン・マルコ広場から本島を縦断してまずは停留所を目指すことに。
 メイン観光地であるサン・マルコ広場から少しずつ離れるにつれ、裏道感満載の地元の人たちが息づくエリアに。そんな中で狭い水路にかかった小さな橋の上からしばし街並みを眺めたり、通りがかった地元の教会前の井戸に、昔見た「ベニスに死す」の井戸に似てるなぁと思いながら井戸のまわりを徘徊して老教授の真似事をしてみたりと、かなりヴェニスの街中の雰囲気を味わうことができた。

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 回り道しながらも思ったより早く北側の海岸に到着。いっきに開けた視界と海風が気持ちいい。

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 この日は平日ということもあってか、ブラーノ島に向かう人々もほどよい多さで、船後方のデッキに座って降り注ぐ夏の日差しと海風に吹かれながら水上航路をゆっくり楽しめ、いかにも夏のバカンス感がこれまた楽しい。

 

 約40分の船旅を経て、ブラーノ島に到着すると、これまたおとぎの国のような光景が!

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 もともとは霧の立ち込める海から狭い水路を経て家路に帰る時に、自分の家が分かるように塗り分けを始めたことがきかっけだったらしいが、乳白色の霧の中で目立つ色ということでパステルカラーが採用され、結果、見渡す限り黄色やピンクやエメラルドグリーンや水色といったパステルカラーの可愛いお家が連なるメルヘンな世界に。

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 しかもその家自体が観光資源になると分かったからか、主な通り沿いの家々は窓辺に小花のプランターや島の名産であるレースを飾ったり、窓やドアに垂らした日除け用の布地も同系色のストライプ柄にしたりと、村全体をあげてのプロデュース力が実にすばらしい。どこもかしこもインスタ映えするフォトスポットになっていた。実際、いたるところで若い女性たちがテンション高くインスタ投稿用であろう撮影会が行われていた。無意識のうちに「カワイイ~!」と連呼してしまわずにはいられない可愛さがぎゅぎゅっと詰まった島だった。

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■昼食は魚介たっぷりパスタで 

 真昼間のメルヘンな世界と暑さにふわふわ気分となっていたが、さすがにお腹もすいてきたので村のメイン広場に連なるお店を物色。観光客目当ての店がひしめいており、メニュー表示も分かりやすいのがありがたい。その中の一つ、看板にランチメニューと金額を分かりやすく表示している明朗会計なトラットリアに入ってみることに。
 イタリアのスパークリングワイン、ブラセッコと昨夜のリベンジ兼ねた魚介のパスタを注文したところ、これが大当たり!
 ブラセッコはお値段以上の嬉しいデカンタ入り♪ そしてパスタもイメージ通りの魚介のシーフードパスタで、しかも思った以上の美味しさで、エビやアサリ、イカムール貝がたっぷりと。異国の地で食べたいものがちゃんと目の前に出現する喜びを知る。

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 お腹も満たされお土産を物色。ブラーノ島はレースが名産ということで、広場の奥まった所にあるディスプレイが可愛い1軒の土産屋に入ってみることに。

 お店は個人経営らしく若い男性店主がのんびりと店番をしているので、ここぞとばかりに店のあちこちを物色。お手頃価格の刺繍入りストールを見つけてお土産用と自分用とに購入。手触りも良くて刺繍も可愛くて、手ごろな普段使いで今でも重宝している。そんな中で一枚のウールのショールに刺繍が施された逸品を発見。お値段は私的には高額なものだったが、多分、同じものを日本で購入したら2~3倍の値段はしそうな代物。悩みに悩みまくって逡巡する私を見かねたのか、さすがののんびり店主も様子伺いに話かけてきた。食事のオーダーとホテルのチェックイン以外で初めて声をかけられた! 村ののどかな雰囲気でリラックス効果のなせる技か。

 どうやら私が吟味していたショールの刺繍は、店主の青年のお母さん作らしい。ママ大好きな雰囲気になんだかほっこりしてしまい、店主のママ愛に乗っかって私もたまには親孝行するかと実家の母へのお土産にすることに。そしたら購入する際に、青年がわざわざ愛しのママを呼んできてくれて紹介してくれた。なんて良い息子。しかもお母様も素敵なマダムで、私が片言(というかcuteとかbeautifulといった単語のみ)でショールの素敵さを伝えたらとっても喜んでくれて愛らしかった。こんな素敵で愛くるしいマダムに私もなりたいと思いながら、メルヘンな街並みとほっこり家族愛に包まれて夢心地の気分で島を後に。

 

●ガラス工芸の街 ムラーノ島

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 ヴァポレットのルート的に、途中でムラーノ島にも立ち寄れると知り、時間もまだ余裕があったので下船。

 ムラーノ島ヴェネチアングラスが名産ということで工房も多いらしく、メルヘンなムラーノ島とはまた趣の違った、工芸の村的な島だった。ガラス工芸繋がりで、なんとなく北海道の小樽に雰囲気が似ている。
 メインストリートの奥には、ヴェネチアングラスでつくられた巨大なそろばんと思しきオブジェが。こんなところにも海運業で一大国家を築き上げた商人魂の片鱗が。
 実家の母に次いで、ここではお酒好きな父へのお土産にグラスを購入しようかと思ったのだが、だがガラス製品のもろさを考えると、私のチャチなスーツケースで持ち運ぶにはかなり心もとない。父にはフィレンツエで皮の財布も買っているしと今回は見送り。土産屋の軒先で見つけた数?のお安いながらも可愛いペンダントトップがあったので、自分用に購入。帰国後、皮紐からチェーンに付け替え、モノトーンのトップスに可愛らしい色合いのワンポイントが欲しい時に重宝している。

 

 午後は島めぐりを満喫しつつだいぶ歩き回ったので、いったん休憩ということでホテルへ。しばしの休憩の後、シャワーで汗を流して、ちょっとおしゃれなワンピースに着替えて夜のヴェニスへ。

 

 実は前日のホテルへの帰り道、アカデミア橋の近くの教会が夜はチェロコンサートをやっているらしいポスターを見つけたのだ。せっかくのヴェニスの夜、チェロの音色に身をゆだねるのも良いかもしれないと、思い立ったら吉日とばかりに訪れることに。
 当日券で入れるらしいということで、その場でチケットを購入。値段はうろ覚えだが25~30?くらいだったか。簡易テーブルで作った即席のチケット売り場に立つのは美大か音大かといった雰囲気のお姉さんで、町の音楽会的な雰囲気とお値段のルリーズナブルさで敷居の低い感じが良い。
 開演は21時からと時間に余裕があったので小腹を満たすために近くの広場を物色し、この一日でヴェニスの街の雰囲気にも多少なれた気きになって、広場から少し奥まったところに佇むバーカロに入ってみることに。
 バーカロ初体験ということで勝手が分からずちょっとビクつきながら、カウンターのケースに並ぶ「チケーティ」と呼ばれる一口サイズのおつまみの中から気になるものを指さしてオーダーに挑戦。塩タラをペースト状にしたものがバケットに乗ったものと、ひき肉を挟んだトマトソースで味付けしたナスの2品を選択。一口サイズといえどもそこはイタリアサイズ。日本人の私には小腹をみたすにはかなり十分な量でしかも美味、白ワインといっしょに食べるとこれまた最高のハーモニー。チェロの音色を楽しむ前にすでに食のハーモニーでご機嫌に♪

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 バーカロはイタリアンな立ち飲み居酒屋といった風体なので、カウンターもあまりなく椅子も少ない。カウンターで立って食べるのは小柄な身にはちと厳しいものがあった。とはいえ、気軽で手軽にちょっとしたイタリア料理をつまむには丁度良い。しかもお値段も格安! にわかな身ではあるが、椅子さえ確保できればバーカロはかなりおススメ♪

 

●サン・ヴィダル教会に響くチェロの四重奏

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 開演時間も迫ってきたので演奏会の行われる教会へ。演奏が始まったとたん、重なりあうチェロの音色の深さに、あれ!? 想像以上の演奏!?と嬉しい驚き。しかも情熱的に演奏する様がヴェネチアの空気に馴染んで雰囲気抜群。脳裏では、イタリア生まれのヴィヴァルディが作曲した「四季」と共に過るこの2日間で味わったヴェニスの街の風景が驚くほどしっくり溶け合って極上のマリアージュ。酩酊状態に近い心地良さ。演奏時間も100分くらいとかなりしっかりあって、良い意味で予想を裏切る大満足の演奏会だった。
 後で調べて分かったのだが、この教会はサン・ヴィダル教会という名前で、演奏するのはヴェネチア室内合奏団。日本でもネットで事前に予約ができるらしい。しかもこの室内合奏団、ヴェネチアで年間6万人を動員する人気楽団だった…! 教会のキャパは200席もなかったかなと思うので、休演日を覗いて仮に年間200日の演奏を常に満員にし、かつ他の大き目ホールで何公演かしないと達成しない数字なのだから、実はすごい楽団だったらしい。教会+チェロ演奏=素敵空間!というノリだけで決めた当時はまったくそんな知識は無く、街の楽団による1時間くらいの気軽な演奏会かしら…くらいの気分でいた。のだが、その気楽さが良かったのかもしれない。思わぬ出会いは旅の醍醐味というもの。
 まったくの無知ながらもノリと勢いで聴くことにして本当に良かった。

 

 ヴェニスの栄華からメルヘンな漁村ブラーノ島、そしてヴェネチアンガラスの工芸で身を立てたムラーノ島ヴェニスの様々な顔を堪能することができたトリプル周遊の日だった。